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会社員や公務員の方が自己破産するときには「退職金」の取り扱いに注意が必要です。
退職金は「財産」とみなされるので、退職金額がいくらになるのか資料を出して説明しなければなりません。退職金の額が大きいと管財事件となり、高額な予納金が必要となってしまう可能性もあります。
今回は自己破産するときの退職金の取り扱いや退職金を証明する方法について解説します。
自己破産するとき、破産者に一定以上の財産があると、現金化して債権者へ配当しなければなりません。
実は会社員や公務員の退職金も一種の「財産」とみなされます。将来退職金を受け取る権利には経済的な価値があると考えられるためです。
自己破産を申し立てるときには、退職金がいくらになるのか計算して「財産目録」に記載しなければなりません。
対象となるのは「退職金見込額」
退職金は、在職年数に応じて増額されるのが一般的です。いつの時点の退職金を基準にするかで、金額が大きく変わってくるでしょう。
自己破産で基準にするのは「現在退職したと仮定した場合の退職金見込額」です。
将来受け取る額ではなく、あくまで「今退職したら受け取れる額」を基準に計算します。
また退職金が財産に計上されるからといって、退職する必要はありません。
あくまで「退職金を請求できる権利」が財産となるだけで、仕事は今までと同様に続けられます。
退職金の計算方法
退職金見込額の全額が財産とみなされるわけではありません。
今の時点で実際に退職するわけではありませんし、将来退職金を受け取れるかどうかは不確実だからです。
多くの裁判所では「退職金見込額の8分の1」を基準とする運用をしています。
たとえば退職金見込額が400万円の方の場合、8分の1である50万円が財産として計上されます。
ただし破産手続き中に退職する具体的な予定がある場合には、退職金見込額の4分の1が計上される場合もあります。
細かい運用方法は裁判所によっても異なるので、地域ごとの裁判所の運用を知りたい場合には、地域の司法書士や弁護士へ相談してみてください。
退職金見込額が高額な場合には、自己破産の手続きが「管財事件」になる可能性があります。
管財事件とは、一定以上の財産のある方に適用される破産手続きです。退職金見込額が一定以上の金額になると「財産がある」と判断されるので、管財事件になってしまうのです。
管財事件になると、破産管財人が選任されて破産者の財産を換価して債権者へと配当します。破産者は最低20万円、通常50万円以上の管財人の予納金を払わねばなりません。
管財事件になると、同時廃止よりも負担が大きくなります。
退職金で管財事件になった場合の予納金
退職金が原因で管財事件になってしまった場合、予納金や退職金見込額を管財人に払えなくて困る方が少なくありません。
退職金見込額が高くても、現在お金を持っているとは限らないからです。
たとえば退職金見込額の8分の1が100万円の場合、自分で100万円を用意して管財人に引き渡さねばなりません。それ以外に管財予納金も必要となります。
親族に援助してもらったり、他の資産を崩して現金を用意したり、あるいは破産前に積み立てたりして用意しておかねばならないでしょう。
勤務先に退職金制度のある方は、退職金見込額の証明方法についても注意が必要です。
退職金証明書を依頼すると会社に自己破産を知られてしまう
退職金見込額は、原則的に勤務先に「退職金証明書」を作成してもらって証明します。
退職金証明書とは「退職金が○○円あります」と書いてもらい、会社に記名押印してもらう書類です。
ところが会社に退職金証明書の発行を依頼すると、なぜ必要となるのかを説明しなければならないでしょう。「自己破産のために必要です」と説明すると、借金トラブルや自己破産について知られてしまいます。
そこで「住宅ローン申請に必要です」などと説明して入手する方もおられます。
退職金規定をみて自分で計算する
会社に退職金証明書をお願いするのが難しい場合には、以下のように対応しましょう。
裁判所では「退職金規定と計算書」の提出があれば、「退職金見込額は不要」という運用をしているのが一般的です。つまり退職金規定を取り寄せて自分で退職金を計算すれば、会社に退職金証明書をお願いする必要はありません。
退職金制度のある会社なら、退職金規定があるはずです。就業規則と合体しているケースも独立しているケースもあるので、総務や担当の方などに入手方法を聞いてみてください。
退職金規定の写しを取り寄せたら、自分の状況を当てはめて退職金見込額を計算しましょう。もしも退職金規定の見方や計算方法がわからなければ、司法書士が確認してサポートします。
退職金制度のある会社にお勤めの方や公務員の方が自己破産するときには、退職金の取り扱いに注意が必要です。できるだけリスクを抑えて破産手続きを進められるよう、早い段階で専門家のアドバイスを受けましょう。
札幌エリアで破産を検討されているなら、お気軽に当事務所の司法書士までご相談ください。
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