自己破産の流れについて解説

 

自己破産の流れは「同時廃止」か「管財事件」かで異なります。

同時廃止とは、財産がほとんどない方に適用される簡易な破産手続きです。

管財事件は財産が一定以上ある方や重大な免責不許可事由のある方に適用される、原則的な破産手続きをいいます。

ただし途中まではどちらの手続きも同じです。「破産手続開始決定」が出た後の流れが変わってきます。

以下でそれぞれの手続きの流れをみていきましょう。

1-1.司法書士や弁護士へ依頼

まずは司法書士や弁護士へ自己破産手続きの依頼をしましょう。

自己破産は非常に複雑で自分で対応するのは困難です。必ず専門家へ依頼するようお勧めします。

 

1-2.受任通知を発送

司法書士などの専門家が各債権者へ受任通知を発送します。この時点で債務者に対する直接の督促は来なくなります。支払いもストップするので、これまで借金返済に充てていたお金が家計の中で浮いてきます。生活費や教育費に足したり専門家の報酬支払にまわしたりするとよいでしょう。

 

1-3.書類の準備

自己破産を申し立てるには多種類の書類が必要なので、申立前に集めなければなりません。

住民票、給与明細書、銀行通帳などいろいろな必要書類があるので、司法書士の指示を受けて早めに集めましょう。申立書や財産目録等の書類は司法書士が作成します。

 

1-4.申立と破産手続開始決定

書類が揃ったら裁判所へ自己破産の申立を行います。

提出された書類に不備がなかったら、裁判所で「破産手続開始決定」がおります。

 

なお破産手続開始決定前に「破産審尋」という手続きが行われるケースもあります。

破産審尋とは、裁判所で裁判官と破産者が面談をして、裁判官が「破産手続開始決定を出してもよいかどうか」の判断材料にするための手続きです。

申立後の流れは同時廃止と管財事件とで異なります。まずは同時廃止の流れからみていきましょう。

2-1.破産手続開始決定と廃止

同時廃止になった場合、破産手続開始決定と同時に破産手続きが廃止され、終了します。

 

2-2.免責審尋

破産手続開始決定後、1～2ヶ月くらいの間に裁判所で「免責審尋」が行われます。

免責審尋とは、裁判官が破産者と面談していろいろな質問を行い「免責してもよいかどうか」の判断材料にするための手続きです。

免責審尋には、破産者本人も必ず出頭しなければなりません。

 

2-3.免責許可決定

免責審尋の結果、特に問題がなかったら裁判所で「免責許可決定」がおります。

決定が確定すれば、正式に借金返済義務がなくなります。

 

2-4．同時廃止にかかる期間

同時廃止の場合、破産手続開始決定後、免責決定までにかかる期間はだいたい2ヶ月程度です。

司法書士に依頼してから申立までの期間はだいたい1～3ヶ月なので、全体で3～5ヶ月くらいかかるケースが多数です。

次に管財事件となった場合の手続きの流れをみていきましょう。

3-1.破産手続開始決定、破産管財人の選任

管財事件の場合、破産手続開始決定が出たら破産管財人が選任されます。

破産管財人とは、破産者の財産を換価して債権者に配当したり、破産者を観察して免責してもよいかどうか、裁判官へ意見を述べたりする役割の人です。

 

3-2.破産管財人との面談

破産管財人が選任されると、破産者は破産管財人と面談しなければなりません。

面談時には破産管財人に預貯金通帳等の財産資料を引き渡し、これまでの借金に関する経緯や収入、財産に関する事情などを説明します。以後は破産者宛の郵便物はすべて破産管財人宛に届くようになります。必要な書類が届いたら、管財人の事務所に取りに行くか管財人から送ってもらいましょう。

 

3-3.換価や債権者集会

破産管財人が預かった財産の換価（現金化）をすすめます。

その間、裁判所で月1回程度の頻度で債権者集会が開かれます。

債権者集会には、破産者も出頭しなければなりません。

 

3-4.配当と破産手続きの集結

換価が終了したら、破産管財人が各債権者へ回収したお金を配当し、破産手続きが終結します。配当するだけのお金が集まらなかった場合には、破産手続きは廃止されて終了します。

 

3-5.免責許可決定

産手続きが終了したら、すぐに裁判所が免責するかどうかの判断を行います。

破産管財人が「免責相当」の意見を出していれば、大抵の場合には免責してもらえます。

免責許可決定が確定したら、借金などの負債の返済義務が正式になくなります。

 

3-6.管財事件にかかる期間

管財事件の場合、破産手続開始決定から免責許可決定までにかかる期間はだいたい6ヶ月程度です。ただし状況によってはもっと長くかかる場合もあります。

司法書士に依頼してからすべての手続きが終了するまで、最低7ヶ月程度、長いと1年以上かかるケースもあります。

 

自己破産のスケジュールをみると複雑に思えますが、司法書士のサポート受けるとご本人が対応しなければならない事項は多くありません。借金問題でお困りであれば、お気軽にご相談ください。